シェフ

パティスリー キャロリーヌ 中川二郎 シェフ

紅葉した街路樹を眺めながら歩いていくと、焼き菓子の香りが漂ってきます。わくわくしながら甘い香りに誘われて、店内へ。笑顔で中川シェフが迎えてくださいました。

―いつおじゃましても明るくて、居心地の良い空間ですね。ケーキの種類がとても多いし、あちら のパイやタルトまで含めるとどのぐらいの数になるのでしょう。お客さまもうれしいですね。

今日はケーキが約70種類、タルトやパイは12種類です。いつもこの程度ですよ。

―すごいですね。圧倒されます。これだけの数を揃えるのは大変ではありませんか?

僕は楽しんで作ってます。お客様が喜んでくださる顔が見たいんです。まず、たくさんの中から選ぶ楽しみ、そして次回には何を食べようかな、という楽しみを提供できるように心がけています。リピーターの方も増えますし、地域に根付いたお店ににもなりますし。「うちの近所にすごくおいしいケーキ屋さんがあってね」と地域の方が自慢できる店になりたいなぁ。

―シェフの意気込みが伝わってきました。他に、どんなお店にしたいかをお伺いしたいのですが。

商品・お店の雰囲気・サービスを充実させて、オンリーワン的な存在になるのが目標です。ケーキの種類が多いのもそうですし、ケーキも種類によってクリームやスポンジなどの素材をひとつひとつ変えているこだわりがあります。プライスカードに商品の説明も載せたり工夫しています。


― そう、紅茶のコーナーでも詳しい説明がしてありますね。提案させていただいた、おすすめのいれ方や飲み方が掲示されているのはうれしいです。紅茶とご自身のお菓子のおいしい組み合わせを具体的に紹介されているのは、他店ではなかなかありません。まさにオンリーワンです(笑)。お菓子がよりおいしくなりますので、このような取り組みをもっと皆さんしていただけたらいいな、と茶壺房では思っているのですが。

僕がおいしいと思った紅茶とお菓子の組み合わせは、お客様にもおすすめしたいですよ。お菓子を最後までおいしく召し上がっていただくための、売り手側の責任かな。

―入り口の黒板に「本日のおすすめ」として商品の紹介や、「HAPPY BIRTHDAY!」のメッセージがあったり楽しいですね。ディスプレイは奥様中心に、ですか?

はい、ガーデニングも任せてありますし、店内のディスプレイもです。季節にあわせて、足を踏み入れたときに夢のある店舗づくりをしてもらっています。あ、あちらのクリスマスツリーは二人で飾り付けしました。

―いいコンビですね。

仕事を支えてくれる良きパートナーです。

―お店の外にお菓子のいい香りがするように工夫されたそうですが。

五感にも訴えてますよ。お店に入る前から何かわくわくするでしょう。ガーデニング・季節ごとのディスプレイ・たくさんのお菓子があってディズニーランドのような、楽しい場所にしたいですね。接客もお客様がお店に入る前、そしてお帰りになるまでを考えて心地よいものにしたいです。例えば、細かい事ですけれど、ドアを開けてさしあげる、雨の日に自転車で来店されたかたのサドルを拭いておく、とか。そんなサービスまでも大切だと思います。

―シェフは製菓学校の先生としての経歴をお持ちですが、先生とオーナーシェフとの違いは?

そうですね、基盤は同じと言ったらいいでしょうか。もともとオーナーシェフをめざしていたのですが、縁あって先生になったわけです。いい経験になりました。フランス菓子以外のウィーン・ドイツ菓子の勉強もしましたし、和菓子やパンまで幅を広げました。自分の引き出しが広がったことは貴重でした。

―引き出しが広がるっていいですね。幅広い経験はオーナーシェフとしての自信にもつながりますね。

先生をやっていきながら、国内外の一流の講師の方との交流で、彼らの技術や考え方にも触れました。それは非常に参考になりましたよ。オンリーワンを目指すオーナーパティシエとしての方向性がだんだんとみえてきましたから。

―あと、他店と違うのは元生徒さんがお弟子さんとして働いていらっしゃることですね。皆さんのチームワークがとてもいいのは、お店の明るい雰囲気にもでていますね。

おいしいケーキを作ってくれる皆には素直に「ありがとう」を言いたいです。厳しいながらもスタッフとチームワーク良く楽しく仕事をする、人を大切にしていきたいです。それはお菓子を大切にすることにもつながるし、お客様を大切にすることにもつながっていきますから。

―人を大切にしていくことは人を育てていくことですね。オーナーであり先生であり…

技術を上手に伝えていきたいです。お菓子作りもきっちりレシピどおりではないんですよね。素材や季節に応じて変えていかなければおいしくできない、例えばですけど、そういうところも判断できる力をつけるように、次の世代を育てていきたいと思います。

―最後になりましたが、シェフのお好きな紅茶を教えて下さい。

ダージリンが好きですね。寒い季節になると他の紅茶のミルクティーもよく飲みますよ。

―ダージリンならあのオレンジのタルトと相性ぴったり!

僕は和歌山県出身でね、みかんの目利きはまかせてください(笑)。自信があります。これからは素材ということでは生産者の見えるものを使っていきたい。まずは和歌山県のみかんからでもいいかもしれません。

―ありがとうございました。これから取材が2件おありだとか、注目のお店ですね。

パティスリー キャロリーヌ

練馬区春日町6-10-28
TEL 03-3926-0711
www.patisserie-caroline.com

中川シェフから

「アメリ」や「アリス」は女の子の名前です。ケーキに難しい名前を付けるより、かわいい名前のほうが親しみがわくでしょう。アメリは映画を思い出されるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。 アメリは中国緑茶を使っています。茶壺房さん向きかな? アリスはこれから、クリスマスにむけてぴったりだと思います。ゼラチンは使わずに作っています。素材やクリームにもこだわっていますのでお試し下さい。


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